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熱処理の基礎知識・技術コラム

ガス浸硫窒化処理とは?

  • 窒化処理
  • 浸硫処理

2023/10/31

ガス浸硫窒化処理の特徴・メリット

ガス浸硫窒化処理とは? | 熱処理技術ナビ

ガス浸硫窒化処理(英語:Gas sulfonitriding treatment)とは、アンモニアガスに浸硫性ガスを添加した混合雰囲気中で処理を行う熱処理技術です。ガス浸硫窒化処理により形成される処理層は、表層から母材にかけて

  • 比較的軟質のため、摩擦時の初期なじみ性を改善し固体潤滑作用を示す硫化物層
  • 窒素化合物層
  • 窒素拡散層の複合層から成ります。

という三層から成ります。

ガス浸硫窒化処理とは? | 熱処理技術ナビ

浸硫窒化処理の特徴は、下記の6つです。

  1. 表面の浸硫層が馴染みを良くするため、耐焼付性・耐カジリ性が向上
  2. 表面の浸硫層によりギヤ鳴りを低減
  3. 耐疲労性が良好(特にSCM435のような合金鋼の場合)
  4. 硬い下地の窒化層により、耐摩耗性、耐ピッチング性、耐食性が向上
  5. 低温処理による変形・変寸の低減
  6. 浸硫ガスの還元作用により、オーステナイト系ステンレス鋼、耐熱鋼、快削鋼なども窒化可能
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上表は、自動車のバランスシャフトギヤについて、エンジン回転数に対する音圧レベルを示したものですが、通常の使用条件となる中回転域で、特にギヤ鳴り低減効果が発揮されていることが分かります。

ガス浸硫窒化処理が適した製品として、シム、スラストワッシャー、エンジンのタイミングギヤ、ベーン、ボールペンのボール、エンジンバルブ、SUS製シャフト、熱間鍛造型、アルミダイキャスト型などがあります。

ガス浸硫窒化とガス窒化の違い

ガス浸硫窒化処理とは? | 熱処理技術ナビ

ガス窒化に対するガス浸硫窒化の優位性として挙げられるのは、

  • 耐久性が向上する
  • 合金鋼を中心として1000HV(ビッカース硬度)以上の表面硬化層が得られる
  • 浸硫性ガス(H₂S)の強力な活性化作用により、バラツキの小さい硬化層が得られる

という3点があります。

ガス浸硫窒化処理とは? | 熱処理技術ナビ

ガス浸硫窒化は、特にアルミダイカスト金型や熱間鍛造金型の耐久性向上に貢献しています。上表は、熱間鍛造金型(SKD61)において耐久テストを行った結果を示していますが、通常の焼入れのみならず、窒化処理と比べてもショット数向上が明らかです。

「熱処理技術ナビ」のガス浸硫窒化処理技術(マルチナイト)

「熱処理技術ナビ」が開発したガス浸硫窒化処理技術「マルチナイト」は、浸硫性ガス(H₂S)によるガス雰囲気処理を採用しております。

ガスの供給〜排ガスの処理まであらゆる面から対策を講じた当社のガス浸硫窒化炉は、安全かつ安定した浸硫窒化が可能です。

「マルチナイト」は、窒素・硫黄濃度を自在に制御可能という特徴を持っており、品質・コスト・量産性、どの点を取っても塩浴法やプラズマ法に勝ります。また、塩浴浸硫窒化のような厚い化合物層や、化合物層レスの処理も可能です。

また、浸硫性ガスの強力な還元力に助けられ、通常のガス浸硫窒化処理よりもステンレス鋼などの難窒化材料を容易に処理することができます。

ガス浸硫窒化処理の事例

「熱処理技術ナビ」によるガス浸硫窒化処理の事例をご紹介します。

各種油圧ポンプ部品へのガス浸硫窒化処理

ガス浸硫窒化処理とは? | 熱処理技術ナビ

こちらは、油圧ポンプ部品へのガス浸硫窒化処理事例です。

油圧ピストンポンプ機構は、多くの建設機械に採用されています。油圧で微妙な圧力制御をするにはポンプ設計において複数の部品が摺動する動きを伴いますが、過負荷による油膜切れや異物嚙み込みが原因で、カジリや焼付き等のトラブルが発生する場合があります。

油圧ポンプは建設機械の動力を発生させる心臓にあたるため、前述のようなトラブルは重大な破損・事故につながるリスクを孕んでいます。

「ガス浸硫窒化処理(マルチナイト処理)」は、部品表面に硫化鉄系の固体潤滑膜を形成させることができる窒化であるため、摺動を伴う油圧ポンプ部品で、且つ窒化系処理をしている部品には広く適用されており、耐久性向上の面で高く評価されています。窒化処理後に潤滑スプレー等を塗布する形では無く、窒化工程の過程で同時に固体潤滑膜を形成させる複合処理であることもポイントの一つです。

ガス浸硫窒化処理のことなら、「熱処理技術ナビ」にお任せください

ガス浸硫窒化処理のご依頼や技術相談については、「熱処理技術ナビ」にご相談ください。用途・数量・予算・納期等を考慮して、最適な技術提案をさせていただきます。

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